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赤い花~情欲の檻~
第4章 MemoriesⅢ
 美華子との密会の現場に現れたのは、ただ嫉妬と見せしめのためにすぎなかったと訴えたけれど、厳格な営業部長が結婚前から二股かけるような男を婿として認めるはずもない。
 結局、祥吾は悪意ある噂―もっとも、その噂の大半は真実であったが―のために会社にいられなくなり、自ら退職した。
 祥吾が退職する半月前、美華子は既にI社を辞めていたのは賢明な選択だったといえよう。遥香がのこのことホテルのバーに登場したのは金曜の夜で、美華子は週明けには人事部長に手書きの退職願を提出したのだ。
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