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赤い花~情欲の檻~
第2章 MemoriesI
 祥吾はそれ以上、話を続ける気を失ったらしく、再び視線を窓の向こうへと投げた。無意識の仕種なのか、視線は依然として外に向けたままで、手だけはテーブルの上をさまよい、何かを探しているような癇性な動きを繰り返している。
 それで、美華子は彼が煙草を探しているのだと判った。彼はかなりのヘビースモーカーだ。三年前に付き合い始めた頃より、煙草も酒も強くなったと思う。営業は何より忍耐と辛抱が必要な部署だ。祥吾はこれでなかなか気性の烈しいというか、はっきりとしたところがあるから、顧客に対して常に笑顔を振りまかなければならないのは相当の我慢を強いられるのかもしれない。
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