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赤い花~情欲の檻~
第3章 MemoriesⅡ
 だから、いつも十一時には帰宅するようにしていたし、そんなときは〝飲み会〟だと言い訳していた。父も母も現代のOLがどんなものかなんて、実態を知らないのは幸いであったといえよう。社内ではごまかしきれなかったようだが、少なくとも両親に限っていえば、祥吾との交際は欠片ほども気づかれていなかった。
 父母の手前、自宅前までは無理だが、近いところまではいつも祥吾がマイカーで送ってくれるのに、今夜に限り送れないと言う。しかも駐車場には予めタクシーまで呼んでおく用意周到さには、いささか呆れた。
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