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赤い花~情欲の檻~
第3章 MemoriesⅡ
 美華子は半ば祥吾に押し込まれるようにして、タクシーに乗り込んだ。
 茫然としている間に、車が発進する。美華子は思わず振り返らずにはいられなかった。だが、恋人の姿はあっと言いう間に見えなくなり、タクシーは地下駐車場を出た。
 美華子は自分が今、タクシーに乗り込み、たった一人で深い底なしの闇の中を走っているような錯覚に囚われた。ホテルのバーから見た街の夜景はきらびやかで、あたかも光の球を連ねたかのように灯りがまばゆかった。だが、今、周囲を取り巻く光景は一面の闇ばかりで、小さな灯りすら見当たらない。
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