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蛍の想ひ人
第6章 ひ
「コイツさ~。俺の親友なの。
きっと生涯一緒に仕事して行く奴なの。
優秀な奴なの。優良物件なんだよね」
「・・・」
「由布子さんがダメならいくらでも彼女候補はいるんだよね」

「おい!余計なこと言うなよ!」
「余計なことじゃねぇよ!」

今まで冗談半分だった新田が真剣な顔をした。

「由布子さんは、加賀がどれだけ貴女のためにしてるか知ってる?」
「・・・・」

「ほんといい加減にしてほしいんだよね。コイツで遊ぶのも」

「加賀くんには私がいるしね」
ちょっと吉村ちゃん本当に放して。マジで。

無理やり、吉村ちゃんの手を引きはがして
由布子さんを覗き見れば、じっと何も言わずに泣きそうだ。

「新田、いい加減にしろよ?
俺がいつ、こんなことしてくれって頼んだ?
お前に俺の気持ちなんか分かんねぇよ・・・

恋焦がれて恋焦がれて。
気が遠くなるほど長い間の片思いなんだ。

尊敬する兄貴の恋人で、本当に理想の二人だったよ。
兄貴がいなくなったからって俺のほうを向いてくれるなんて高望だって分かってるよ。

それでも諦めきれなくて、大好きすぎて無茶を言って付き合いだしたんだ。
初めから兄貴に勝とうなんて思っちゃいない。
勝てるなんて思っちゃいないよ。

それでも・・・心が折れることもあるんだよ。
でもそれは由布子さんのせいじゃない。
俺がまだまだ未熟でふがいないからだ・・・

由布子さんを責めるのはお門違いだよ」
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