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ずっと傍に……
第29章 きっかけ…

「陽葵…無理するなよ」

「んっ…大丈夫…友也をね…抱きしめたかったから…」

「だったらいいけど…ずっと桜木先生…友紀也さんの名前呼んでた…」

「ん…友紀也とね…会ってたの…友也のこと褒めてくれた…良い子に育ったねって…フフフッ…私の自慢の息子…私の宝物…」

フワフワする頭で懸命に言葉にする。
この子は宝物だから…友紀也とユキが私に送ってくれた宝物…

「陽葵、病院に着いた…学先生…待っててくれたんだ」

フワフワする頭で何かを考えていると、蒼の声が耳に入ると同時にドアが開いて学先生が顔を出した。

「陽葵くん、大丈夫か…」

「学…先生…少し…きついです…」

「そうか…とりあえず診察をしよう…友也、先に降り…て…」

私の腕の中から顔を出した友也を見て、学先生の言葉が止まる。
そして何かに驚いたような顔をして友也を見ていた。

「先生?」

「あっ…いや…うん…友也、ママを診察して早く楽にしてあげるから先に降りなさい」

私の言葉に慌てて友也を降ろすと、学先生は私を軽々と抱きあげストレッチャーに乗せた。
病院と言う事もあり、気が緩んだ私はそこで意識を手離した…
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