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もう私、生徒じゃない
第5章 優しい手

私を椅子に座らせると「どうぞ」と
ミルクティーを持った手を差し出す。
それを受け取るため繋がっていた手を離した。
それを確認すると気遣うように
近過ぎず遠過ぎずの距離を保って
私の横に先生が座る。
私が握っていた手には所々私の爪の跡が残っていた。
「ご、ごめんなさい…」
慌てて謝ると優しく首を横に振って
「謝られるより感謝される方が嬉しい」
と抑揚のあまりない声で言う。
その声に魅せられてボーッとしてしまう。
すぐにハッとして姿勢を整えて
「ありがとうございます」
少し会釈をしながらお礼を言う。
手の中のミルクティーの温かさが
動揺した心をしずめていく。
そうして先生はそれ以降何も言わずに側に居てくれた。
「もう、大丈夫です」
それからどのくらい経ったかわからないが
やっと気持ちも落ち着いたので先生にそう伝えると
「よかった」とふわりと笑ってその後に
「何かあれば声かけて、授業の質問でも他のことでも」
そう付け加えた。
私私が素直に返事をすると少しだけ嬉しそうにした先生が
立ち上がって歩き出し、やがて階段を上がっていく。
私はそんな先生と繋がっていた手を
交互に見比べ余韻に浸っていた。
ミルクティーを持った手を差し出す。
それを受け取るため繋がっていた手を離した。
それを確認すると気遣うように
近過ぎず遠過ぎずの距離を保って
私の横に先生が座る。
私が握っていた手には所々私の爪の跡が残っていた。
「ご、ごめんなさい…」
慌てて謝ると優しく首を横に振って
「謝られるより感謝される方が嬉しい」
と抑揚のあまりない声で言う。
その声に魅せられてボーッとしてしまう。
すぐにハッとして姿勢を整えて
「ありがとうございます」
少し会釈をしながらお礼を言う。
手の中のミルクティーの温かさが
動揺した心をしずめていく。
そうして先生はそれ以降何も言わずに側に居てくれた。
「もう、大丈夫です」
それからどのくらい経ったかわからないが
やっと気持ちも落ち着いたので先生にそう伝えると
「よかった」とふわりと笑ってその後に
「何かあれば声かけて、授業の質問でも他のことでも」
そう付け加えた。
私私が素直に返事をすると少しだけ嬉しそうにした先生が
立ち上がって歩き出し、やがて階段を上がっていく。
私はそんな先生と繋がっていた手を
交互に見比べ余韻に浸っていた。

