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籠鳥 ~溺愛~
第11章
『私から、逃げられると思うな――』
そう言った鏡哉に、美冬は言いようのない怒りを覚えた。
「………っ!!」
(私から先に逃げ出したのは、貴方でしょう――?)
二人が微動だにしないので、広い部屋の中には沈黙が下りる。
それを破ったのは、美冬のほうだった。
ベッドから降り乱れていた制服を直すと、鏡哉の立つ扉へと歩いていく。
「帰ります」
「帰さない」
立て板に水の返事に、美冬は声を荒げる。
「高柳さんを呼んでくれる筈ではなかったのですか?」
「高柳、高柳、高柳――! あいつと出来ているのか!」
急に大声を出した鏡哉に美冬は目を丸くする。
「な! 出来てなんて――」
そう反論する美冬の口を鏡哉の唇が塞ぐ。
「ぅうっ!!」
とっさに両手を鏡哉の胸について逃れようとするが、頭の後ろと腰をがっちりと抱きしめられ、身動きが取れない。
(いやぁっ!)
鏡哉は噛みつくように美冬の薄い唇にむしゃぶりついてくる。
強引に舌で唇を割り開かせると、口内を縦横無尽に蹂躙した。
あまりの激しさに、鼻からの息だけでは酸素が足りなくなり、口からも息をしようとするのだが、その空気さえも奪われるように口づけされ、美冬は意識が朦朧としだした。
そして舌を吸い上げられる度に感じる言いようのない刺激も、彼女の思考を支配しだす。
(だ、ダメ、流されちゃ……)
そう思うのだが、頭の芯はぼうとして気が付くと鏡哉に体を凭れさせていた。
鏡哉に横抱きされ、ベッドの上に優しく下される。
キスで酸欠状態になっていた美冬は、いつの間にか自分のスカーフで手首を拘束されていることに気付かなった。
ぼうと上に重なった鏡哉を見上げると、ちゅっと昔のようにリップ音を立て、唇に吸い付かれた。
「鏡哉さ…ん……?」
しかしその表情は苦しそうで、美冬は思わず名前を呼んでしまう。
「そうやって、誑(たぶら)かしたのか……?」
(え……?)
「そうやって、高柳にも足を開いたのか?」
「ち、ちが――!」
かあと美冬の頬が赤く染まる。
「何が違う! どうせそんな濡れた瞳であいつに縋り付いたんだろう?」
鏡哉はそう言うと、痛いほど強くセーラー服の上から両胸を揉みしだく。