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愛しき俺の半身
第1章 シスコン



「星耶(せいや)…、おいっ!星耶って…。」


デカい声で人の名前を連呼するな。


「なんだよ?」


はぁはぁと息を切らせながら怜太(りょうた)が俺に駆け寄って来る。


「お前、また女の子を振ったの?」


そんなくだらない事の確認で、わざわざ走って追いかけて来んなよ。

怜太にも呆れてしまう。


「知らない女と付き合う気はねぇんだよ。」

「けど…、何人目だ?羨ましい…。」

「スーパーAの有坂よりは少ないぞ。」

「あれは別格だ。」


有坂も俺と同じように女を振りまくっている。

そりゃ、そうだろ?

最低な女は俺に振られた3日後に有坂にアタックしたとかいう噂まで聞こえて来た。

有坂は国立医大狙いの男だから、そんな女達に振り回されるのはさぞかし迷惑だろうと同情をする。


「それよか、腹が減ったし今からハンバーガー屋に行かね?」


怜太が無邪気に聞いて来る。

怜太も俺と同じ推薦組だから、余裕がある。


「行かねぇ…。」

「エッグタルト…。季節限定販売が始まったとしても?」


エッグタルト…、星桜(しおん)の好物…。


「エッグタルトだけ買いに行く。」

「このシスコン!」


なんとでも言え…。

そうやって開き直る。

怜太の叫びを無視してうちの学生が溜まり場にしているハンバーガー屋へと向かった。

目的のものだけを買えば家に帰る。


「じゃあな…。」

「おいっ!星耶!」


怜太を無視してロードバイクを走らせた。

家まで20分…。

アイツが待っているから俺は帰る。

だから、名前も知らないつまらない女なんかと付き合っている暇はない。

今帰るからな…。

家で俺を待っている女の為だけに出来るだけ急いで家に帰っていた。



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