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愛しき俺の半身
第5章 母親

もうすぐ、誕生日…。
その日は日曜日だから1日中星桜とゆっくりと過ごそうと約束をしている。
後少しだから頑張ろうと星桜と話をしなければ…。
そんな事を考えながら今日もいつものように大学をロードバイクで出ようとした。
「藤沢君!」
聞き覚えのある声がする。
木村…。
彼女もこの大学だ。
しかも大学結成のアイドルグループに早くも所属をしている。
「なんだ?」
露骨に嫌な顔をしてやる。
「藤沢君にちょっと頼みがあって…。」
木村が可愛いだろうと言わんばかりの笑顔を俺に向けて来る。
怜太ならその笑顔に尻尾を振るだろうが真っ赤な口紅が妖怪みたいで俺には気持ちが悪いと感じる。
「学祭の実行委員がね、今は人手不足で困っているの。」
俺が話を聞くとは言っていないのに一方的に俺に話をして来る。
「それが?俺には関係がない。」
「藤沢君、バイトも何もしてないでしょ?サークルも入ってないし、少しくらいなら手伝える時間があるわよね?」
「ねぇよ…、忙しいんだ。」
「なんで?」
「木村さんには関係ない。」
「あるわよ!」
「何が?」
「私、藤沢君が好きだもの…。高校の時からずっと好きなのよ!」
イライラとした。
お互いの気持ちが通じない相手ってマジ面倒くせぇとしか思えない。
星桜は生まれた時から好きなんだよ。
星桜を生まれた時から愛してるんだよ。
星桜とならいちいち言葉にしなくても全てが通じ合えるんだよ。
「俺は木村さんを好きじゃない。これ以上は話をする気もないから…。」
木村がまたしても信じられないものを見るような顔で俺を見ていた。
そんな木村を無視してロードバイクに乗って家に向かった。

