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夢…獏の喰わぬ夢
第2章 獏
しかも、それが苦しくても、彼女が居ない寂しさに僕が耐えられなくなっているのを、午前中たっぷり思い知らされたのだ。
最初に見た自分勝手な夢の中で作り上げた立派な自画像は捨てて、彼女に任せよう。
「ここからは初めての景色だわ。」
また彼女の言葉に遮られた。
駅から公園まで、半歩後ろを歩く彼女と、腕も組めない自分がもどかしかった。
公園につくと、無難な落ち着く樹の下を選び、それはもう二人の決まりと呼んでも良さそうだが、ごろりと横になった。
「どんな夢をみたの?」
彼女が言う。
僕は夢の話がしたいとは言ったが、自分が見た夢のことと話しただろうか?
謎だらけで訳がわからないが、気取るのは無駄なんだ。
「君と夢のコツの話をした後の講義で夢を見た。」
「あら、ずい分不真面目な学生ね。」
「君に言われたくないね。
そこで君に会ってコツの話の続きをするんだ。
僕は夢の続きを見たいとは言ったが、現実の続きの夢なんてあるかな?」
「自由でなければ…」
「まさか、夢の中の君も同じことを言ったよ。」
「その前にあなたに、ランチの時に話したわ。」