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夢…獏の喰わぬ夢
第4章 五月晴れ
朝、スッキリと目覚めた。
これほど、大学に向かうのが楽しいと思ったことはない。
彼女が部屋から消えて、彼女の住まいも連絡先も知らないことに気付き、どうしようもなかったのだが。
大学に行けば彼女に会える。それは裏切られないと信じていた。
いつもの電車に乗る。彼女のために目立たない席を確保するのにちょうどいい時刻だ。
彼女は教室に滑り込んで隣に座り、寝る。
ランチを食べながら、何から話そうか。彼女と会える喜びが、昨日の喪失感をすっかりぬぐい去った。
ところが、彼女はいつも突然、想像を超えて僕を掻き乱す事件屋だ。
隣の駅でドアが閉まる寸前に走ってくる子がいた。
その子はギリギリセーフで僕のいる隣のドアから電車に飛び乗った。
彼女だ。
でも何か違う。何かが彼女らしくない。
普段彼女は目立たない服装をしている。
講義の間眠りを妨げられないように、控えめで、あまり女の子らしくない格好だ。