この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
イかせ屋…2
第8章 その男、酔っ払いにつき…
朝からバタバタするのが農家…。
お父さんと兄は畑…。
年中無休の農家はコンビニ並の辛い仕事。
私はお母さんとわかちゃんと台所でおせち料理の準備に追われる事になる。
「梓!アンタ…、昌さんのお誕生日のご馳走になんかお洒落な料理とか出来ないの!?」
午前中におせち料理を作り、午後からは昌さんのお誕生日の料理を作る予定だから田舎者のお母さんは恥ずかしい料理は嫌だと騒ぐ。
「なら、お肉の塊を買って来てよ!ローストビーフくらいなら作れるから!」
「ローストビーフ!?そんな外国の食べ物を梓は作れるの!?」
お母さん…あなたはいつの時代の人ですか?
呆れてしまう田舎者っぷり。
「だって、わかちゃんは作れないわよね?」
「無理ですよ。」
大きな胸を張って、わかちゃんがお母さんに自慢げに答える。
わかちゃん…、あなたは現代人でしょ?
この家族の中で風太君がどんな風に育つのかと叔母として心配だと思う。
とりあえず、おせち料理はやっつけてしまい、女3人で今夜の食事用の食料の買い出しに向かう。
ちゃんとケーキ作りが間に合うのかと不安になる。
スーパーで生クリームやベーキングパウダーを買う私にわかちゃんとお母さんが驚愕する。
「都会の女子大学ではケーキの作り方まで教えてくれるのか!?」
神様…、この田舎者達を少し黙らせて下さい!
子供の塾や習い事くらいはあるけれど、カルチャークラブなんか存在をしない田舎。
あるのは老人クラブのゲートボールとラジオ体操…。
そんな田舎者達を従えて台所で私は都会の女っぷりを見せつける。
ローストビーフの下ごしらえをしながら、ケーキ作りの準備をする。
「お肉はオーブンに入れないの?」
「ローストビーフはケーキの後に焼くの!ケーキにお肉の匂いが付くでしょ!?」
「ローストビーフにお味噌汁って合うかしら?」
「合わないけれどお父さんがお味噌汁がないご飯は納得しないでしょ!?」
半分発狂しそうな台所戦争…。
そんな中で私は孤独に戦い続ける。