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嘘やろ!?
第10章 芸術と科学
シャワーを浴びて服を着る。
透の部屋にはいつの間にか私用の服が増えてる。
普段用のカジュアルなものから学校へ着ていける仕事用の服まで、透の好みで私に似合う服がちゃんと用意してある。
パジャマも新しい替えがあった。
夏休みは初めから私と一緒に暮らすつもりだった透だと理解をする。
そんな風にされると夏休みが終わった時にちゃんと自分の家に帰れるんかと不安になる。
10時には店に顔を出す。
カウンターに居た遼さんが私に指1本で来いと私に合図をして来る。
「透の休憩まではここで待ちや。」
私の前にミモザを置いて遼さんがそう言う。
「知ってたんですか?」
「うちは休憩時間に厨房で賄いを食うからな。透が店に来るなり朱音ちゃんを厨房に入れる言うてたから当然わかるやろ?」
遼さんがニヤニヤとする。
カウンターに居た遼さん目当ての女性客の2人が私を睨んでる。
店に来るたびによく見かける2人だから、かなりの常連客なんだと思う。
しかも、私と同世代の女性ばかり…。
遼さんはもう40過ぎとるで?
そうは思うけど透と同じように綺麗な顔をしてる遼さんに女性客がのぼせてしまうのはわかる気がする。
茶髪にピアスでチャラい感じにしてるから遼さんは若く見える。
カウンターにはワイルド系イケメンの公平(こうへい)君と王子様風イケメンの渚(なぎさ)君。
どちらも23歳で元々同級生らしい。
ワイルド系公平君は朝から3分クッキングをやってる俳優を色黒にした感じ。
無口でただニコニコとしとる。
王子様風の渚君は優しい話し方をする。
糸のように細い目だけど色白でやっぱり綺麗な顔立ちをしてる。
「バーテンダーにも資格があってマイスターになるには20年以上はかかるんですよ。」
私が退屈をしないように気を使ってる渚君がそんな話をしてくれる。