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きっかけは映画館
第41章 二人のための岬
「さて、ちょっと休憩しようか。」
バイクを降りて目的地に向かう。
「ヒサオ…夕日も海に沈むんだね。今日産まれたお日さまともお別れだ。」
俺は麻里絵の視界を遮るようにして、そこに連れて行く。
メットで視野が狭かったせいか、麻里絵は目的地の看板には気づいていないようだった。
「うん、ここで日の入りを見届けるよ。」
崖の競り出す岬の先端に向かう。
ちょうど、太陽が海に差し掛かるところだった。
「真っ赤に燃えてるね。」
「うん、でも、日の出と違って焼け落ちていくみたい。綺麗だけどちょっと寂しいね。」
「麻里絵、ここ、恋人岬って言って夕日の綺麗な名所なんだよ。」
俺は日の出と同様、麻里絵の手をしっかり握っていた。
麻里絵はそれをキュッと握り返すだけで、何も言わずじっと夕日が沈むのを眺めていた。
「朝日と海が金色に輝くのと同じ、夕日に染まって海が真っ赤に焼けてる。」
あと少しで太陽は海に溶け込んでしまいそうだった。
麻里絵はとても寂しそうだったが、俺は繋いでいた手をそっと離す。
「ヒサオ?」
麻里絵は心細そうに俺を見上げた。