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きっかけは映画館
第3章 映画
そんな裕司と珍しくデートに行く約束をしていた。
日程は決まってなかったけど…
恋愛物、濃厚なラブシーンがある。恋愛っていいなって思えるなんてコマーシャルで、空前の大ヒットの映画だった。
ちょっとマンネリ化している自覚はお互いにあったのだろう。
裕司も乗り気で、是非見に行こうと言っていた。
そんな矢先に転勤の話…
実際転勤するのは、まだ2ヶ月以上先だけど、裕司は返事をしたその日に別れを切り出してきた。
無論、映画の話もなくなった。
確かに、別れが決まっていて会うのは不毛かもしれない。
裕司はそういう考え方をする人…
もしかして、映画を観て、気持ちが変わるかもしれない…
なんて私みたいな考え方はしない。
って、あれ…
どこか裕司についていけないって気持ちは、今結論付けたものじゃなかったんだ。
でも、映画は観たい。
むしろ意地でも観たい。
「優希ちゃん〜、金曜日映画見に行こう?」
「何の映画ですか?」
今、仕事でペアを組んでる優希ちゃんに映画のお誘いをしている私。
一人で恋愛映画を見る勇気はちょっとない…
「先輩すみません。その映画、ついこの前彼氏と観たばかりで…
でも凄く良かったですよ。是非見に行ってくださいね。」
そんな話、したことなかったけど、優希ちゃん彼氏いたのね。
こうなったら一人でも見に行ってやる。