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心の隙間を埋めて
第2章 キス
俺はいつもの通り出社した。九月ももう終わりだと言うのに熱い。
三時限目に彼女の合格を耳にした。早速、待ち合いに座ってる彼女に声を掛けた。大きく深呼吸して……。
「三浦さん……合格おめでとう」
「ありがとうございます。桜井先生……」
彼女は白い歯を見せてくれた。彼女のこんな笑顔を見るのは初めてだ。
「……で、早速ですが、アンケートを……」と、空き部屋を探す。
部屋は熱気が籠もっている。
折りたたみテーブル越しに彼女を座らせ、エアコンのスイッチを入れた。古いエアコンはゴーゴーと大きな音を上げながら冷風を吐く。
「先生、ここには何と書けば……」と彼女の目が俺を見た。
「キス」の二文字が頭を過る。
彼女に顔を近づける。
艶っぽいぷるんとした唇がアップになる。
彼女の唇を啄むような可愛いキス……。
「あっ……」
その瞬間、彼女の切れ長の目が閉じる。
少し開いた唇の間からねっとりと濡れたピンクの舌先が覗いた。