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私の欠けているところ
第5章 その『嘘』に俺は追い詰められ
「…うん」
「今日、恋人に会えて
嬉しかった?」
「うん」
「そっか…」
「梶谷くん」
「ん?」
「ありがと」
「ううん」
「梶谷くんも
こんな時があったら
言ってね。
私、ハグするから」
そう言って
優しく笑う時ちゃんは
100%俺をゲイだと信じていた
だから
俺に抱きしめられていたし
俺の前で泣き
俺に頼ってくれた
「ほんとに?」
「うん。
梶谷くんは
大事な友達だもん」
だから言えなかったんだ
俺がほんとは
ゲイじゃないってことも
時ちゃんを
俺のものにしたいと
思ってるってことも…
「すげー嬉しい。
なぁ」
「ん?」
「今度俺んち来いよ。
それなら
時ちゃんの恋人が
急に来ることもないしさ」
そしたらまた
ハグできるし
「でも…」
「その方が
外で飯食うより
会社の人にも見つかることないし」
「…それは…そうだよね…」
「じゃ、決まりな!
すげー掃除しとくから
あ、いや
時ちゃんが来て
掃除してくれてもいーなー」
「もう(笑)」