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空洞
第1章 相田 花奏(あいた かなで)

マスターからふわっと甘い匂いがする。なぜか知っている様な気がしたけど、ほろ酔いのせいか思い出せなかった。
そろそろ帰ろう。
そう言ったのは、裕子の方だった。
裕子がタクシーに乗り込んだ時、カウンターに忘れ物をしたのに気がついた。
「ごめん裕子、先帰ってて。忘れ物したみたい!また、今度ね。」
私は、地下室にまた戻って行った。
「あの、ごめんなさい。忘れ物しちゃって。」
マスターに声をかけると、
「今日はご来店ありがとうございました。気をつけてお帰り下さいね。」
ニッコリそう言って、忘れ物を渡してくれた。

