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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第10章 花と蝶の居場所
「あれを」




 そのひと言で、尚宮が王妃に平たい箱を恭しく差し出した。箱は丁度今の季節に咲く桜のような薄紅だ。王妃はほっそりとした手で蓋を開いた。





「そなたの好きな甘いものを持ってきた」
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