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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第10章 花と蝶の居場所
 もしやという嫌な予感が去来し、灯火もない薄い闇の中で申尚宮を見つめる。



「何かあったのか?」



「大王大妃さま、ご崩御にございます」



「―」




 オクチョンは眼を閉じた。今日の夕刻、別れたばかりなのに、もう彼(か)の方は帰らぬ人となり、遠いところに旅立っていったのか。
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