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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第13章 恋しさの香り
オクチョンは言葉もなかった。この一件以来、スンは初めて今日、ここに来たというのに、既に王妃の許には渡ったというのか。その事実に、スンに抱かれて感じていた幸せの余韻も冷めてゆく。
「母上が倒れられたと聞き、取るものもとりあえず大妃殿に伺った時、中殿に逢った。風邪を引いていたとかで、中殿は母上には会わず、そのまま帰ったよ。顔を見る程度は差し支えなかろうに、母上に風邪を移してはならないからと言っていた。本当に心優しい女だな」