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逆転満塁ホームラン!
第13章 バタバタの一週間


「ほら、俺って恋愛初心者みたいなもんやん?」

「格好付けやなアカンのかな、とか色々思うし。男なら夢叶えてあげてから自分の気持ち伝えるってのが順序やろ、とかも思ってまうねん。」


………なるほど。

そういう事か。


「つまりお前の脳みそは、漫画とか小説みたいな恋愛しか知らないビギナーだからこそ……夢を叶えてやってから自分の気持ちを伝えるべきだって思考になってんだべ?」

「そう。俺のエゴなんは分かってるけど、それが男やと思ってる。」


「……。」


不器用ながら天草は天草なりに色々と深い所まで考えてた事に驚きだ。

プライドも有るんだろうけど、そのプライドを守りながらも吉瀬ちゃんの気持ちも組もうとしてあげてる。

こいつも成長したのかもな、俺の知らない所で。


「そっか。」

「ん。──後はアイツが待っててくれるかどうか、そこだけやろ。」



「待っててくれるよ、吉瀬ちゃんなら。」


お前らお互いが両思いだって気付いたのは昨日だろ?俺達はずっと前から知ってたっつーの。

何なら、早く告白しろやって皆が皆、何度天草に言いかけたか。


「吉瀬ちゃんは一度深く信用した人間を簡単に裏切るような女じゃないべ?だから、お前の事を好きな今でも住友総司の大親友だし、ウィングスの球団スタッフとして必死に動いてくれてんだよ。」

「それにあの子は馬鹿に見えて賢いから。」


「土間の事も含め、人を信用してる様に見えるけど──心の底から大事に思うまでにはそれなりの根拠を集めるタイプだし、人の行動や表情一つで本心を見抜ける。」


「そんな子に、一度愛されたら──それほど幸せなモンは無えと思うべ?そんだけ愛情深くて賢い子、なんだしな。」


「……せやな。」

自分の好きな子を褒められると誰だって嬉しいし、鼻高々ってやつだ。

そんな気分を隠す事なくニヤニヤして俺に見せつけてきた天草の肩を叩いてから自分のグローブを取りに裏に戻った。


……天草と吉瀬ちゃんの大恋愛の為にも、俺も頑張らないと、な。


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