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サイドストーリー9
第21章 蛍の想ひ人④
「カッコ悪っ」

こんなところで時間をつぶすぐらいなら、理由を付けて来るのを断ればいいモノを。

ミニカーを手に遊びに飽きた雅之が
「ママのところに行く」
と椅子から立ち上がった。

「もう少し・・・
もう少しだけ2人にしてやろう」

雅之の頭をなでて、抱きあげてひざに乗せる。


「だから、毎年お茶屋さんで時間をつぶしてるの?」


呆れたように笑う由布子さんがいつの間にか後ろに立ってて。
「由布子さん!!」
びっくりする俺をよそに由布子さんは目の前にしゃがんで雅之と視線を合わせた。
「博之おじちゃんのお墓参りをしようね」
そう言って、俺のひざから雅之を下して手をつなぐ。

「さ。信之も行きましょ」

俺に差し出された手に俺はそっとしがみつく。

「ばかね」

爽やかな笑顔の由布子さんは、母親の顔だった。


END*****



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