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保健体育の授業
第9章 それぞれの道~敦也~

また同じように敦也の側に座り
手を握ると少し握り返してくれ
敦也の口元が微かに動いた。
酸素を外して
『敦也?なに?』
と聞くと
『ご…』
『ごめん、もう一回…』
『ごめ…な』
もう一度聞いて敦也が
謝っているとわかった。
『謝らなくていいから。
大丈夫だからね!
敦也には私も広大も李久も
ちゃんと側にいるよ?
だから何にも心配ないよ!ね!』
敦也の口元は微かに微笑み
そして目からは涙が一粒二粒と
落ちてきた。
そしてまたスーっと眠りについた。
しばらくして私はまた
寝てしまっていた。
『先生、先生?起きて、おーい』
目を覚ますとそこには李久が
立っていた。
『李久…どうしたの?』
『もうずっと付きっきりだろ?
少し家で休んできな。
敦也は俺に任せろ。
広大にも言ってあるから。』
『でも…』
『でもじゃねぇ。
そんな顔で敦也の前にいたって
敦也は喜ばねぇから。』
『わかった…ありがと。
何かあったらすぐに電話して。
絶対。お願いね?』
『わかってるよ。
ほら、行った行った。』
無理矢理椅子を取られ
手でおいやられたけれど
本当に疲れきった私に
李久は早く休んで欲しかったんだと
自分の顔を鏡で見て自覚した。

