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世界で一人だけの君へ
第10章  出逢い
僕らのデビューは延期された。

steamのプロモーションがいまいち伸び悩んでいるということで事務所はsteamの売り出しに力を注ぐらしい。

俺としてはラッキーだった。
大学も忙しいしせっかくの学生ライフを楽しみたかったから。

僕はテニスサークルに入っていた。
野球以外のスポーツをしたかったし、女の子とも知り合いになりたい、なんてちょっと下心もあった。

忙しいレポート作成の合間をぬって、部室に顔を出したり練習にもなるべく参加した。

最初はちょっと有名な僕を遠巻きに見ていた仲間もしばらくするとすっかり仲のいい友達になってくれた。普通の友達がいるって楽しい。



ドラマのことなどすっかり忘れていた頃
その回は放映された。
たまたま家でその放送を見ていた俺は驚いた。
俺のシーンがちゃんと残っていた。
しかも俺が彼女を見つめた場面は少しスローにされていて、すごく印象に残るカットになっていた...
そして最後のテロップには
友情出演 坂井 賢夢
と特別扱いまでされていた。


当然翌日の学校ではかなり騒がれた。

恥ずかしかったけど

嬉しかった。


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