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振り向けば…
第11章 失敗した…
「森本か?」
担任だった先生に見下ろされる。
「ご無沙汰しております。」
久しぶりの母校に凱旋。
優等生のままの私が先生に挨拶をする。
「まさか…、学校の教師になるんか?」
先生が目を丸くする。
建築に進むとずっと言うてた私。
教員免許は念の為に取るのだと説明をする。
「そうやろうなぁ…、でも、森本の場合、高校の教員免許よりも小学校の方がええかもしれんぞ。」
「なんでです?」
「今日日の高校男子なんか見上げながら説教したっても馬鹿にして来よるだけや。」
身長かよ!?
別にそこまでの熱血教師になろうとか思ってない。
「今田は…、元気か?」
「悠真ですか?」
「お前ら…、付き合うてたんやろ?」
「はぁ?」
学生の時には話せないような内容をポンポンと元担任の先生が言うて来る。
「違うんか?」
「違いますよ。」
「いや…、てっきり…。」
「違います…。」
「あいつ、進学の話した時にな。森本と同じ大学にだけは絶対に行くとか言うてたから…。」
「私と?」
「今田は優秀やったから、公立の他の大学でもあいつは行けたやろ?私立の学費の問題があるなら無理はすんなって言うたんや。けど、今田のやつがヘラヘラ笑って森本の行く大学にしか興味ないとか言うからな。例え恋愛がきっかけでも大学に行くつもりなんやったら学校教師としては頑張れ言うて背中を押したった覚えがあるんや。」
恋愛なんかないよ。
先生…。
今も悠真は私と居る。
だけど、そこには恋愛はない。
あるのは完全な他人やのに家族やと思い込んでる不思議な繋がりだけ…。
父親を亡くした悠真。
父親を亡くすかもしれないと怯え続けた私。
お互いが家族を失うのは嫌だと傷を舐め合って寄り添い続けた結果だけが存在した。