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振り向けば…
第18章 私自身を…
「来夢さん…、殻が入ってます。」
「自分で取れ…。」
「そうします。」
私に怯えながら卵かけご飯を胃袋に流し込む悠真をぼんやりと眺めながら私もご飯を食べる。
「今日は児島に行く予定やろ?機嫌直せや。」
「だから…、機嫌悪くないもん。」
「腹減ってただけか?」
穏やかな笑顔で私を見る悠真に、これ以上はカリカリとしてもただの八つ当たりだ。
「児島…、どんなとこかな?」
「さぁな、日本のジーンズ発祥の地域としか俺は知らんわ。」
どちらかというならば背が低く小さな私はジーパンが似合わない。
対称的に背が高く悠真はスラリとした長い足だからジーパンが良く似合う。
その悠真が私を連れて行きたいと言うた場所。
旅館を出て再び車で倉敷へと向かう。
ほとんど海よりの街で私はゲラゲラと笑い出す。
「悠真…、自動販売機が…。」
デニム柄の自販機…。
「お洒落な自販機やな。」
悠真もゲラゲラと笑い出す。
車を止めてジーンズを販売するお店が並ぶという通りを散歩する。
ジーパンだけだと思うてた。
お店の人に教わったけど、日本産のジーンズは外国産よりも布が柔らかく丈夫だから様々なデザインに加工しやすいらしい。
ブラウスにスカートやワンピース。
ショールやコートまでもがデニム生地で生産されてるというまさにジーンズの街。
悠真が2本くらいジーパンを買い、私にはデニムのシャツワンピースとジージャンを買うてくれる。
買い物の後は甘味処に走る悠真…。
「昨日は我慢したからな。」
「よく入るな…。」
「別腹に決まっとる。」
お汁粉をぺろりと平らげる悠真に呆れてまう。