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振り向けば…
第19章 ここまでだな…
悠真の言う通り、次の瞬間には元気君の方がリングに膝を付いてた。
元気君の攻撃にベテランの対戦相手はきっちりガードをして構えてた。
元気君のスタミナが切れるチャンスを待ってたのだと悠真が言う。
なんだか悲しい試合だと思った。
大人に必死に立ち向かっても、子供は絶対に太刀打ち出来ないんだと言われた気分になる。
私は悠真に太刀打ち出来ない?
悠真は…。
試合終了後、悠真がのんびりと欠伸をする。
「後2年もしたら…、あの子が日本チャンピオンになっとるな…。」
「世界チャンピオンの可能性は?」
「さぁな。俺はそこまで格闘は知らんし…。」
いつか元気君をテレビで見れたらいいなと思う。
元気君の試合の後は15分の休憩だとアナウンスが流れる。
悠真がニヤニヤとし始める。
「来夢…、コーヒーでも買うて来いや。」
「なんでよ?」
「別に…。」
悠真が飲みたいのならトイレにでも行くついでに買うて来たろうかと思うたのに…。
突然、派手な照明に変わり派手な音楽がアリーナいっぱいに流れ出す。
「うおっ!」
男の人達だけが騒ぎ出す。
リングの上では水着のような衣装のお姉さんが3人ほどでかなりセクシーなダンスを踊ってる。
「悠真も来いや!」
何故かキレて悠真の耳を引っ張った。
「へーへー…。」
視線はリングに向いたままの悠真がダラダラと私について来る。
「スケベは治らんねんな!」
「男のスケベが治ったら人類は滅びるぞ?」
「やかましい!」
こんなところで久しぶりの変態を見せて来る悠真に腹が立つ。
仕事の付き合いがある海斗さん達に幼なじみは変態ですなんて恥ずかしくて見せられへん。
ニヤニヤと笑い続ける悠真と正反対に私の方がどんどんと不機嫌になってた。