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振り向けば…
第20章 久しぶりに…
実際、海斗さんの攻撃は大ぶりで派手な回し蹴りなどが目立つ感じがする。
それでも相手はびくともせず、ガードだけで自分を守り続けてる。
「勝つんじゃね?」
気のない悠真の返事に苛立ちを感じる。
「勝つの?」
「さぁな。」
ただ悠真がニヤニヤとする。
3R目に入る。
唖然とした。
完全なスローモーションにしか見えない試合…。
海斗さんも対戦相手も全く足が動かずにスローモーションのようなパンチをお互いが交互に仲良く出し合ってるだけの試合運び。
「何…、これ…。」
「だから、勝つんじゃね?これじゃ最初の2Rのポイントだけの判定になるだろ。」
プロの試合というよりも近所の子供の喧嘩を観てる気分がする。
テレビに出れるレベルとの違いの意味が要約わかって来た気がした。
悠真が言うように結果は海斗さんの判定勝ち。
「それでも勝ちは勝ちだな。」
リングの上で小さなトロフィーを貰いリングサイドに集まった10人ほどのカメラマンに向かって勝利者のポーズをしている海斗さんに悠真が呟いた。
その次の試合は更にやばいと思うた。
本日のメインイベント…。
超重量級の試合…。
お互いが100kgを超えた人の試合はとんでもなくスーパースローモーションの動きであり、お肉とお肉がぶつかり合う音がモロに聞こえる。
マニアじゃないと嬉しくない試合…。
「たはは…。」
苦笑いをする。
他の客席からも笑い声がする。
「立派なメインイベントだな。」
悠真が馬鹿にしたように言う。
それでも、あの人達だってこのリングで一生懸命に戦ってるんだよ。
…と言いたいが実際はお肉とお肉が絡み合うだけの不気味な試合にしか見えないから言えなくなる。