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振り向けば…
第21章 喋れば変態…
何がそんなに悲しかったのかすらわからない。
自分の惨めで拙い恋が終わったからか?
大事な人を失ったからか?
ただ悠真が私を抱きしめてくれる。
私の髪を撫でて背中を叩きながら
「わかった。わかってるから…。」
そう言うて私を慰める。
私が泣きやんで落ち着いた頃には日付けは変わりクリスマスが終わってた。
私の手を握り、子供を連れて行くように悠真が家まで送ってくれる。
「来夢にしては頑張ったんだな。」
私の服装を見て悠真が笑う。
「ガテン系の女が無理してるって言いたいの?」
「いや、違う。もっと、そういうお洒落に慣れた方がええと思う。勿体ないやろ?」
「勿体ない?」
「せっかく小さく生まれたんやから。」
悠真が私を馬鹿にして私の髪をくしゃくしゃと掻き混ぜるように撫でて来る。
「小さくて悪かったな!」
「デカい女からすれば羨ましい事だぞ?」
「やかましい!」
いつもの自分に戻れると思う。
私は私…。
ガテン系で薄汚れた女…。
それでも構わへん言う男を探せばええだけやん。
悠真が居る限り笑える自分を確信する。
「お前、いつまで仕事や?」
「28日まで…。」
「ほな、29日に迎えに行く。」
「どっか行くんか?」
「ああ、風邪ひかん格好だけしとけよ。」
それだけ言うたら悠真が帰る。
29日って私の誕生日やん。
ちゃっかりと予約をした悠真に笑うてた。
どこに行くつもりなんやろ?
また、映画かライブか?
まっ…、いいっか…。
小さな恋が終わったのにサバサバとした私を感じたクリスマス明けの夜だった。