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振り向けば…
第21章 喋れば変態…
テレビでは前に悠真と観た古い映画をやってる。
「懐かしいな。」
悠真がやっと私を見る。
映画は悠真の嫌いなラブロマンス…。
ヴァンパイアと女子高生が純愛を繰り返すというストーリー。
「こういうの嫌いやろ?」
「キスも迂闊に出来ん女とか愛してるって言える男が理解出来ん。」
「それが純愛ってやつやん。」
「SEX無しに恋愛はない。」
SEXしても恋愛はないくせに…。
悠真に少し腹が立つ。
同時に身体が震えて寒気がする。
「なんか寒くなって来た…。」
湯冷めしたかもとか思う。
こんな場所で風邪をひくと最悪だと思う。
「こっち…、来いや。」
悠真が私を悠真の布団に入れてくれる。
私よりも体温の高い悠真はいつもポカポカだ。
「ゆう…、温かい。」
「はいはい…。」
子供をあやすように私の髪を撫でて私を扱う。
映画じゃキスシーンへと向かってる。
私を背中から抱える悠真の身体がピッタリと密着してて暖かい。
綺麗で幻想的なキスシーン…。
女の子を壊れ物のように扱う切ないキスシーンを見て私と悠真の関係では絶対に無いものだと思うと悲しくなる。
セフレは嫌だ…。
ただ愛して愛されたい。
純愛は幻想だとしても、女としてはSEXをするならば恋人として抱かれたい。
それを悠真に求める事は間違いなのか?
私は悠真のように私を扱ってくれる誰かを探さなければならないのか?
散々、悠真に甘やかされてる私はかなり贅沢な女になってると思う。
映画が終わり、悠真が電気とテレビを消す。
暗闇の中で2人きりなのに…。
今夜もやはり私にはその気のない悠真だ。
人を愛するってだけの事なのに…。
この瞬間だけは悠真が誰よりも一番遠い存在に感じるのが嫌だった。