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振り向けば…
第22章 贅沢…
そして、あるおばさんが…。
「でも贅沢だと思わない?避難所でお風呂に入りたいとか、小さな子供が居ると他の人に迷惑になるから自分の家族専用のテントが欲しいとか言うのは…。」
と言うて来た。
「私はさぁ、阪神大震災の時、神戸だったのよ。それこそ、飲み水にすら困ってる状況だったから僅かでも水があれば赤ちゃんのミルク用に使って下さいと皆んなが遠慮をする避難所生活だったわ。」
「そうそう、私もそうだった。お風呂は無理だと諦めてウェットティッシュで身体を拭いたりしたし。自分の子供が他の人に迷惑をかけると思うくらいならテントを要求する前に自分の子供に避難所なんだから静かにしろとしつけをするのが先じゃない?」
「やっぱり、被災者が贅沢になってんのよ。阪神大震災と東日本大震災を経験してから、避難所に飲み水などの物資とか届くのが早くなったからね。」
「自衛隊の活動もやたらと早くなったわよね。」
おばさん達に反論が出来ない私だった。
被災して避難してる段階で被害者なんだよ?
少しでも人として落ち着いた生活をしたいと言うだけで、それは贅沢という扱いになるのですか?
お父さんは現地でどう感じたのだろうか?
その夜、お父さんと電話で話をした。
『普段、使える川にかかる橋が落ちたせいで、30分で行ける場所に1時間半かけて移動したりしとるな。』
「そんなに大変なん?」
『問題は地元行政の動きや。兵庫の時や宮城の時は地元行政の対応が良かったけど、熊本行政はあくまでもお役所仕事で、夕方には窓口を閉めて緊急対応をしてやがれへん。』
お父さんまでもが厳しい意見を言う。
でも困ってる人達が居るには間違いないと言うから私は少し安心した。
人をわざわざ助けに行ってるのに、それが贅沢な助けだったら悲しい事だと思う私が居た。