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振り向けば…
第25章 深いよ…



「うっひゃー!?南国!?」


鹿児島の空港を出ると一面に広がる青空と道路際に生える椰子の木が目に入る。


「田舎者か…、恥ずかしい。」


悠真が私の頭を押さえ付ける。


「だって…。」

「ひとまず足を手に入れるぞ。」

「足?」

「レンタカー…。」

「どこで?」


空港と道路と山しか見えない。


「あっ…、西郷さんの銅像発見。」

「観光は後じゃ!」


ブツブツと言うて悠真が歩き出す。

私は自分のバッグしか持ってないけど悠真は自分の分と私の分のキャリーバッグを持ってくれてる。


「あそこがレンタカー屋や。」


悠真が指差す先にポツンと小さな建物が見える。

空港の端っこにあるレンタカー屋さん。

距離は500m以上はある。


「マジか?」


炎天下の中をそこまで歩く羽目になる。


「この辺じゃ、車生活が当たり前やからな。」

「らしいね…。」


今の会社に九州出身の社員さんが居る。

会社では彼の


「すぐ、そこ。」


という道案内を信用するなと言われてる。

現場でその人がコンビニ袋を持ってた為に宮崎さんが


「この辺にコンビニなんかあったか?」


と聞いた。

その彼は


「うん、その道を真っ直ぐ行った先のすぐそこにありましたよ。」


と答えた為に宮崎さんは別の職人さんと現場用の飲み物を買いにコンビニへと向かった。

彼が言うたコンビニは確かに存在をした。

ただし、1kmという直線距離を宮崎さん達はひたすら歩く事になったという。


「こっちの人の『すぐそこ』は信じたら、あかんねんで…。」

「だろうな…。」


悠真がため息をついた。


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