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振り向けば…
第25章 深いよ…



誰かにキスをされてる。

顔がよくわからない。

深いキス…。

優しいキス…。

そんなキスをする人を私は1人しか知らない。

だから目を開ける。

チュッ…。

軽いリップ音がしてキスが終わる。


「よく…、寝れたか?」


少し照れたような悠真の顔がある。


「うん…。」

「シャワー浴びたら朝飯食うて移動するぞ。」

「悠真…。」

「ん?」

「キスして…。」

「ん…。」


やっぱり優しいキスをくれる。

これで恋人じゃないのが不思議だと思う。


「悠真…、なんで恋人じゃあかんの?」


さすがにストレートに聞いてみた。

何故か悠真が泣きそうな顔をする。


「俺は来夢を傷つけるからな。」


それが悠真の答えだった。

私を傷つける?

意味がわからない。

今だって傷つけてるやん。

私だけの片思い。


「けどな来夢が一番大切な女で家族や言う気持ちはほんまなんや。だから来夢を1日中でも抱きたいと思う日もあるし、今日も旅行じゃないなら来夢をこのままにしておきたいと思う。」


まだ全裸の私の身体を撫でて私をまた感じさせようとする悠真…。


「そういうのはやだ…、鹿児島の思い出がSEXだけとか絶対に嫌だ。」


東京でのトラウマ。


「わかっとる。だから来夢とは今の関係が俺にはええんや。」


振られた訳じゃない。

ただ悠真にまだその気がない。

それでも私には至れり尽くせりで甘やかしてくれる悠真だから、この関係を続けるしかない。

いつか私に悠真以外で好きな人が出来るまで…。

悠真に私よりも可愛いイキ顔を見せられる恋人が出来るまで…。

私と悠真はまだまだおかしなこの関係を維持する事になるのだった。


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