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振り向けば…
第5章 悔しいけど…
「無理に焦る事ないよ。大会には出るけど全国クラスには行かないんだから。」
溝口先輩が私の頭をポンポンと叩いて落ち着かせてくれる。
「全国には行かないんですか?」
「全国レベルの選手は私立に集められる。公立で全国を目指すとか無理無理。」
部活の予算自体が私立とは違う。
片や学校の野外プールの公立。
片や競技専門の温水プールを完備した私立。
「なるほど…。」
一応は納得する。
だけど練習をしないでパラパラを踊ってるって有りですか?
不思議な部活を毎日眺めながら悠真とは距離を置く。
何故なら悠真とは同じクラス…。
しかも変態全開になってる。
友達だと思われると恥ずかしいと思う。
悠真には陽斗(はると)と駿(しゅん)という変態友達が出来た。
「やだーっ!今田君って最低っ!」
「いや、マジに2年の幸芽(ゆきめ)先輩の乳とか触りたい!」
「怒られるよ?」
「ピンヒールに網タイツ履いて鞭を持って怒ってくれるなら俺はピンヒールを舐めれる。」
「だから…、やばいって…。」
チャラい系の女子と悠真達変態グループが教室で騒いでる。
事ある事に『乳触らせろ。』とか女子に平気で言う悠真には近寄らないようにする。
悠真の変態がすっかり定着した頃に水泳部はやっとプール開きで本格的な練習が始まった。
「マネージャー、タイムよろしく。」
こんちゃん先輩にそう言われて順番に先輩達のタイムを測る。
驚いたのは2年生の5人…。
3年生や新しく入った1年生のタイムとは段違いのタイムを次々と叩き出す。
「これで全国は無理なんですか!?」
「無理だよ。」
溝口先輩が寂しく笑う。