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SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第10章 辿り着いた場所

和哉とお揃いの指輪。それだけで良かった。
「結納や、結婚式が、無いんだから。余計にその分、金額は、気にしなくていいのに……」
せっかく私がお洒落したから、たまにはと入ったフレンチのコース。勿論ワインも。デサート中に、彼は残念そうに言う。
「あれが、気に入ったのっ」
サイズや刻印もあり、仕上がりは来週になる。
「そう……。梨香が、気に入ったなら、構わないけど……」
本当に、遠慮したわけではなかった。気に入れば、もっと高くても選んだだろう。
結婚式は本当にいらないし、したくないのは、自分の家族を呼びたくないから。和哉が金持ちだと知ったら、特に母親は大喜びだろう。
それに、未だに家族には会いたくなかった。
愛情を貰うのは、もう和哉からだけでいい。
結婚式について、和哉はもう何も言ってこなかった。
それは、私の家庭環境についても話したからだろう。
離れていても、未だに家族なのは変わらない。だが彼と結婚すれば、新しい家族となれる。
少しずつ過去を捨て、未来だけを見つめたかった。
「でも……。写真、だけは、撮ろうよ……。写真館で……」
それくらいなら構わないと言うと、和哉が笑顔になる。
「じゃあ、ウエディングドレスと、お色直し用の、ドレスを、作らないとね……」
「いいよぉ。レンタルで」
そう言ったが、彼は譲らない。
どうしても世界に一着の物を着て欲しいと、懇願されてしまった。
仕方ないと思いながらも、私も笑顔で了承するしかない。やりたがっていた結婚式を断るのだから、それくらいは譲らないと。
久し振りの高級料理を食べ終え、タクシーに乗り込む。
和哉は今日、最初からワインを呑むつもりだったらしい。いつもは自分の車で出かけるのに。
着いたのは、ドレスの専門店。
店内を見て回ったが、見本のどれもが高価。それを好みにカスタマイズすると、もっと金額は上がる。お色直し用のドレスも合わせたら、私の退職金の半分近くになるだろう。
勿論和哉は値段など気にしないようにと言うから、出すつもりでいるはずだ。

