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セックスと愛とフレグランス
第8章 とまどい
だとすると、帰宅したのは兄の孝介しか考えられない。

どうやら彼は自室にいたのではなく、どこかへ外出していたらしい。

「孝介くんが帰ってきたみたい」愛先輩の表情が花を咲かせたように輝いた。

彼女の顔を見た瞬間、智広の心がざわついた。

桐原愛への思いが薄れていたとはいっても、いざこうして再会してみると、憧れていた数か月前の淡い記憶が蘇ってくる。

離れていれば思いだすこともないのに、愛先輩の姿を見てしまった今、彼女の対する過去の感情がふつふつと蘇ってくるのが自分でもわかった。

がちゃり、とリビングの扉が開いた。
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