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セイドレイ【完結】
第25章 暗転

そして、慎二は田中のほかに──もう1人の別の男とも同時にやり取りを進めていた。
その中で、どうせなら2人とも同じ日に会って4Pをするのはどうかということになり、今日に至ったという流れである。
「──ってことだから。よろしくね。ちなみに、1人はちょっと遅れてくるらしくて、先に田中さんと会うことになってるからね」
なんの悪びれる様子もなく、慎二はそう言ってのけた。
これにはさすがの亜美も難色を示す。
「そ、そんなっ…困りますっ…。どこの誰だか分からない人に会うなんてっ…」
「ん?肉便器がなに言っちゃってんの~?どこの誰だか分かんない奴に使われるのがお前の仕事だろ??それに、これはご主人様の命令なんだからな。あ、そうそう…あとこれも着けてもらうからね」
慎二がそう言った直後、亜美の両耳に爆音が走った。
「──!?」
慎二は、大音量で音楽が流れるイヤホンを亜美に装着したのである。
これから見知らぬ男に会うというのに──亜美は視力と聴力を遮断されてしまったのだ。
そのまま、しばらく歩かされただろうか。
ふと、慎二が歩みを止める。
すると突然、それまでずっと密着していた慎二のカラダが離れた。
亜美は急に心細くなり、手を仰いで慎二を探すも掴むのは空気ばかり。
暗闇の中、たった独り置いていかれたのではないか──そんな不安と恐怖が亜美を襲う。
声を出して慎二を呼ぼうにも、自分の声の大きさも分からないこの状況ではそれもできない。
すると再び、慎二のカラダが触れた。
そのことに、ひどく安堵してしまう亜美。
そしてもう離れるまいと、亜美は慎二の腕をギュッと強く握りしめた。
目隠しとイヤホンの効果は、確実に発揮されているようである。
そこからさらに移動をし、足の裏に伝わる感触がまた変化した。
吹きつけていた風も止んだことから、どこか屋内に入ったのだろうか。
すると突然、亜美はコートを剥ぎ取られた。
「──キャッ!?」
亜美は思わず悲鳴を漏らし、咄嗟に両腕で乳房を隠す。
ここがどこかも分からず、周りに誰が何人いるのかも分からない──そんな状況の中で、全裸にされてしまったという恐怖。
そして、気がつけばまたしても慎二はどこかへ行ってしまったようだ。
いや、もしかしたらすぐとなりにいるのかもしれないが、亜美にはそれを知る術がないのである。

