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セイドレイ【完結】
第27章 愛
部屋を訪れたのは、本山だった。
今日で年内最後の部活の指導を終えた本山は、その足でここへ来たようだった。
両手にスーパーのビニール袋を持っている。
中には沢山の食料や飲料などが入っていた。
「…おっす…高崎、お前腹減ってるだろ?好きなの選んでいいぞ?」
本山はそう言うと、テーブルの上におにぎりや惣菜を並べていく。
到底、食欲などあるはずが無かった。
このまま食べ物も水も口にしなければ、死ねるとすら考えていた程なのに。
当然、新堂はそれを見越して、田中を監視につけ、本山に食料を運ばせているのだろう。
「…すいません。今はいいです。後でいただきます…」
「お、そうかぁ?じゃあ先生が全部食っちまうぞ、なんてな…はは」
本山の空気の読めない冗談が宙を舞う。
鎖に繋がれ監禁されている亜美の横で、本山と田中が談笑しながら食事を取っている摩訶不思議な光景。
亜美は今日から、ピルを服用することができない。
そのうち亜美はまた妊娠できる状態に戻る。
そして、また客の相手をさせられるのだ。
最低でも懐妊するまではここでの生活が続くということだ。
亜美は少し不思議に思っていた。
雅彦やその他の男が、自分の子を孕ませたいのは何となくだが理解ができる。理解というか、男とはそういうしょうもない生き物なのだという諦めだ。
しかし、未だ亜美に指一本触れようとしない新堂が、何故ここまで亜美を妊娠させることに執着するのか。
単純に、亜美の女としての尊厳を踏みにじることだけが目的なのだろうか。
隠れて避妊をしていたことに対する腹いせだろうか。
それとも、会員をつなぎ止めておくためのパフォーマンスなのか。
そのどれもであって、どれでもない気がするーー、亜美はそう感じていた。
男とは弱い生き物だ。
雅彦、健一、慎二だけを見ても、つくづくそう思う。
皆、心のどこかに歪んだ闇を抱え、女を蔑み、その鬱積を晴らすかのように、無抵抗な亜美を支配しようとしてきた。
では、新堂が抱える闇とは一体何なのであろう。
彼にだって、必ず何かあるに違いない。
むしろ、指一本触れてこないことに何かヒントがあるのではないかと、亜美はそう考えるようになっていた。
今日で年内最後の部活の指導を終えた本山は、その足でここへ来たようだった。
両手にスーパーのビニール袋を持っている。
中には沢山の食料や飲料などが入っていた。
「…おっす…高崎、お前腹減ってるだろ?好きなの選んでいいぞ?」
本山はそう言うと、テーブルの上におにぎりや惣菜を並べていく。
到底、食欲などあるはずが無かった。
このまま食べ物も水も口にしなければ、死ねるとすら考えていた程なのに。
当然、新堂はそれを見越して、田中を監視につけ、本山に食料を運ばせているのだろう。
「…すいません。今はいいです。後でいただきます…」
「お、そうかぁ?じゃあ先生が全部食っちまうぞ、なんてな…はは」
本山の空気の読めない冗談が宙を舞う。
鎖に繋がれ監禁されている亜美の横で、本山と田中が談笑しながら食事を取っている摩訶不思議な光景。
亜美は今日から、ピルを服用することができない。
そのうち亜美はまた妊娠できる状態に戻る。
そして、また客の相手をさせられるのだ。
最低でも懐妊するまではここでの生活が続くということだ。
亜美は少し不思議に思っていた。
雅彦やその他の男が、自分の子を孕ませたいのは何となくだが理解ができる。理解というか、男とはそういうしょうもない生き物なのだという諦めだ。
しかし、未だ亜美に指一本触れようとしない新堂が、何故ここまで亜美を妊娠させることに執着するのか。
単純に、亜美の女としての尊厳を踏みにじることだけが目的なのだろうか。
隠れて避妊をしていたことに対する腹いせだろうか。
それとも、会員をつなぎ止めておくためのパフォーマンスなのか。
そのどれもであって、どれでもない気がするーー、亜美はそう感じていた。
男とは弱い生き物だ。
雅彦、健一、慎二だけを見ても、つくづくそう思う。
皆、心のどこかに歪んだ闇を抱え、女を蔑み、その鬱積を晴らすかのように、無抵抗な亜美を支配しようとしてきた。
では、新堂が抱える闇とは一体何なのであろう。
彼にだって、必ず何かあるに違いない。
むしろ、指一本触れてこないことに何かヒントがあるのではないかと、亜美はそう考えるようになっていた。