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セイドレイ【完結】
第9章 盟友

それから二週間──。
エコーによって心音が確認され、亜美の自然妊娠が確定した。

そのころちょうど夏休みを迎えた亜美は、昼夜問わず、絶えず男たちに陵辱されていた。

亜美は腹の子をこれからどうするのか、特にたずねなかった。
そして雅彦も、現時点では何も言わなかった。

自分は何も考えなくていい。
そうすればこれ以上傷つくことはない──。

体調が優れない日もあったが、そんなことはこの屋敷に来てからずっとそうであったし、それが妊娠によるものかどうかさえ、亜美にはもうどうでもよかった。

毎日、肉の塊になって、男たちの性欲を受け止めていれば、日々が過ぎていく。
もう妊娠しているのだから妊娠する心配もない。
この戯れに身を任せているのが本来の自分なんだと思うと、なんだかすべてが馬鹿らしく、そして可笑しく思えたのだった。


ところで、亜美がこの屋敷に来たときからすでに行われていたリフォームが、ようやく完成したらしい。
亜美はさして気にも留めていなかったが、その関係なのか雅彦はなにやら慌ただしそうにしている。

なんにせよ、自分には関係のないことだろう、と亜美は思う。
仮に関係があったとしても、自分で考えなくてはいけないことなどなにひとつ無いのだから──。

思えば、最近例の悪夢にうなされることもなくなっていた。
夢だと思っていたことが現実となり、現実だと思っていたことが夢だったのだから、なんとなく合点がいく。

きっと、そういうことなのだろう。

このころから亜美は、体調のせいかもともと細かった食がさらに細くなり、なにも口にしない日が増えた。
口にしているものといえば、男たちの体液が主である。

なにをしていても、どこかうわの空、心ここにあらずといった様子の亜美。

そんな中、男たちの要求にはむしろ積極的に応じてみせた。
なにか不安を打ち消したいかのように、その行為にすがっているようでにも見受けられる。

男たちには、そんな亜美の姿がどう映っていたのだろう。


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