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舞い降りた天使
第15章 真実
そしてその後に現れたのは
「さっちゃん、お待たせー。
さ、行こうか」
真穂だった
「うん!」
真穂が
エスクードから出てきて
さっちゃんに声をかけたんだ
突然現れた真穂に
俺の鼓動は高鳴り一気に体温が上がった
でも
久しぶりに見る真穂は
とても…疲れている様子で
少し痩せてしまったように見えた
真穂に会えて嬉しいはずなのに
そんな真穂を見てると
真穂のことが心配でたまらなくて
俺の心は沈んだ
「お迎え何時?」
「5時かなー」
「はーい」
相変わらず
いいお母さんだな…
さっちゃんの前で
笑顔を絶やさない真穂を見ていると
真穂を抱きしめたくてたまらなくて
俺はぎゅーっと拳を握りしめた
「もうこんな時間、急がないと!」
「うん!」
どうやら二人は
歩いてどこかに出かけるらしい
もちろん俺は
二人の後をつけることにした
しばらく歩いた
二人の目的地はとあるビル
真穂はさっちゃんと
慣れた様子でそのビルの中へと
入っていった
俺は中に入らず
そのビルを外から観察すると
二階の窓には
『フリースクール』の文字
それを見た瞬間
駿太が不登校やってたことを思い出し
俺の喉は
ぎゅーっと締め付けられた
さっちゃん…学校行ってないのか
真穂が会社にいた頃は
さっちゃんあんなに楽しそうに
学校へ行ってたのに
あ、真穂だ
しばらくすると
真穂はビルから一人で出てきた
少しうつむいて歩く真穂に
さっきまでの笑顔は無い
その様子を見て
俺は
あの時と同じだと思った
真穂と知り合った
あの頃の真穂と同じ
一人で
頑張りすぎて
壊れかけていた真穂
俺は
そんな真穂を
放っておけなかった
そんな真穂が
大好きだった
そんな真穂だからこそ
愛していた
今だって何も変わらない
俺は
真穂が好きで好きで
たまらないんだ
俺はもう
何一つ周囲を気にすることなく
走り出していた
俺に気づいてない真穂は
どんどんエスクードへと近づく
俺はそれを阻止するように
走って真穂に近づくと
真穂の腕を掴んで
声をかけた
「真穂」