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舞い降りた天使
第15章 真実

side 巧
怖い…
それは
旦那のことか?
いや、それなら
携帯を捨ててまで
こんなところへは来ていないはず
あっ…
その時俺は
あることを思い出した
それは
半年前に真穂が言った
『いけないことをしようとすると
悪いことが起きる』
という言葉
もしかして真穂は今も
そう思ってるんじゃないだろうか
「もしかして
悪いことが起きるって…」
「……」
図星だろう
真穂は唇を噛みながら
視線を落とした
「大丈夫、何も悪いことなんて起きないよ。
俺が病気になったのも
さっちゃんが怪我をしたのもただの偶然」
「でも…」
「じゃあ、真穂は今幸せ?」
「えっ…」
「いけないことを我慢して
いいことがあった?」
真穂は
悲しそうに首を横に振った
「真穂は苦しんでるんだろ?
さっちゃんは?学校行ってる?
だから俺に電話をかけてきたし
携帯まで捨てたんだよな?」
「……」
「俺は全然いいことなんてなかった。
不幸だったよ。
病気になったことより
もっと辛くて
もっともっと…不幸だった。
だから
いや…」
「……」
「もしバチが当たって
俺に何かが起きたとしてもいいよ」
「えっ…」
「いけないことをして
それで真穂が
苦しみから解放されるなら
バチが当たってもいい。
さっちゃんが笑顔になるためなら
俺はかまわないよ。
俺は
それを望む。
覚悟は
できてるんだ」
真穂に覚悟があるかどうかは
分からない
けどそれでもいい
この3時間だけでも
真穂を救いたいと思った
「…巧くん…」
「素直になれよ…真穂」
すると真穂は
しばらく黙り込んだあと
俺を見つめながら
囁いたんだ
「私も…
巧くんが好きなの…」

