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舞い降りた天使
第17章 決戦

その日の夜


「桜ちゃん、久しぶりね。
私のこと覚えてる?」

「…はい」

「あれから頭痛くなったりしてない?」

「はい」

「よかった。
じゃあ、お母さんとお話しあるから
この中学生のお兄さんと
ちょっと遊んでてくれる?」

「うん」

これは全て
事前に打ち合わせしていた通りだ

人見知りのさっちゃんも
姉ちゃんが
前に病院であった看護婦さんだということで
駿太と待つことを承知してくれた

ここに来た理由は
その病院でのお礼のためってことになってる

「じゃあ桜ちゃん
僕の部屋に行ってようか。
僕、字が下手だから
習字教えてくれよ」

そんなことを言いながら
駿太はさっちゃんを
意図も簡単に部屋へと連れて行ってしまった

駿太も人見知りだったからだろうか
可愛いなー!とか言って
大きなアクションを取ったりせず
何歳?何色が好き?と
質問ぜめにもしない
声のトーンもごく普通で
あんまり目も合わさない
駿太のさらっとした雰囲気が
さっちゃんの警戒心を解いてるみたいだった


「その節は
本当にありがとうございました」

さっちゃんがリビングから居なくなると
真穂はすぐにそう言って
深く頭を下げた

「そんな、いいのよ?
仕事なんだし。
さ、座って」

「…はい」

「巧
とりあえず今の状況説明してくれる?」

今のところ
まだ姉ちゃんは落ち着いてる
けど
これからどうなるのか心配で
俺は喉がカラカラになりながら
状況を説明した


一度別れて
真穂は家族で沖縄に行ったこと

半年経って
俺が会いに行って
連れて帰って来たこと

真穂は離婚する気があること

そして
明日住むところを探しに行くこと…

「それから
さっちゃんは…
俺たちの関係を知らないし
徳永さんが離婚したいと思ってることも
まだ知らないんだ」


「…そう」


正面に座ってる姉ちゃんは
そう短く返事をすると
真穂の方に身体を向けて座り直した
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