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舞い降りた天使
第19章 別れ
巧くんと連絡を絶ったのは
もちろん
巧くんに迷惑をかけたくないから
でもそれだけじゃない
私は
桜を絶対に
あんな人に渡したくなかったから。
巧くんとの浮気を攻められ
親権を奪われるようなことは
絶対に避けたかった
「さっちゃん」
「何?」
「このまま
お母さんと二人きりになったら
寂しい?」
その言葉に
桜はすぐ大きく首を横に振った
「寂しくない!」
「ほんと?
お母さんね
さっちゃんの
ほんとの気持ちを知りたいの」
そう、ほんとの気持ち
誰のことも気にしない
桜の
本当の気持ち
「ほんとの気持ち?」
「そう。
さっちゃんが
言っちゃダメだと思ってることも全部」
私に気を使って
言えないでいること
全部
「……ねぇ、お母さん」
「何?」
「思ってること
ぜんぶ話していいの?」
「いいよ。
全部話して欲しい。
お母さん
さっちゃんの思ってること
全部全部聞きたいから」
「あのね、私ね…」
「うん」
「こんなことを言ったら
ダメなんだけどね
もう
沖縄には行きたくない」
「うん、わかった。
教えてくれてありがとう。
沖縄…
辛かったんだね。
ごめんね
沖縄なんかに連れて行って。
だから
沖縄はもう行かなくていいよ。
他には?
なんでも言って」
「あのね、それとね…
パパのこと…」
「うん」
「…好きじゃない」
「桜…」
少しうつむたいまま
黙り込んでしまった桜を優しく抱き寄せると
桜が
私の腕の中で小さく囁いた
「お母さん…ごめんなさい」
「謝らなくていいよ。
さっちゃんは全然悪くないの。
悪いのは
お母さんとパパなんだから…」
パパを悪く言わない私に
『嫌いだ』と言ったことを
桜は謝ってるんだと思う
だから
私も言うよ、桜
「さっちゃん
お母さんもね
パパとはもう会いたくないの。
お母さん
パパとはもう
一緒にいたくない…
さっちゃんのパパなのに
ごめんね…っ…」
「…っおか…さ…っ…」