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舞い降りた天使
第19章 別れ
side 巧
そんな事があったのを知ったのは
その次の日の夜だった
真穂は
いつもの公衆電話から俺に電話をかけ
そして
さっちゃんが車で待ってるからと
昨日あった話を
手短かに話し始めた
真穂が話してくれたのは
さっちゃんが
離婚を承諾してくれたということ
それは
さっちゃんの意思でもあること
さっちゃんはもう
沖縄に行きたくないと言ったこと
そして
真穂のことを
可愛そうだと言ったこと…。
さっちゃんが
離婚を認めてくれたことに
安堵はしたものの
俺は
真穂の話を聞いていると
どうしてこの2人が
こんなに辛い思いをしなきゃいけないんだと
腹が立って仕方がなかった
それなのに
俺はただ待ってるだけで
どうすることもできなくて
それがまた悔しくて…
「それからもう一つ
大事な話があるの」
「だ、大事な話?」
これ以上大事な話が
まだあるのか?
俺は思わず生唾を飲み込んだ
「うん、あのね
昨日の夜
私…あの人に電話したの」
「え?!
旦那に?!」
真穂は
別れて欲しいと
旦那に電話をかけたらしい
それは
相当の勇気だったに違いない
「大丈夫だったか?
怒鳴られなかったか?」
「うん…
怒鳴られたけど大丈夫。
慣れてるし
とにかく別れて欲しいこと
伝えられたから」
慣れてるという
真穂の言葉に
俺の胸は痛んだ
「慣れてるって…」
「ごめんね
変なこと言って。
でもほんと、大丈夫だから」
真穂の大丈夫
久しぶりに聞いたな…
すぐ強がる
いつもの癖
「真穂」
「ん?」
「会いたい」
「巧くん…」
「会えないのはわかってる。
でも会いたい。
会いたいって気持ちを伝えたいだけ。
会って抱きしめたい」
そして
強がる真穂の肩の力を
抜かせてやりたい
自分の方が年上だからって
頑張らくていいんだよ
…と
「…巧くん…
ありがと
私も会いたい」
「うん」