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舞い降りた天使
第7章 桜
それから二人
席を離れて仕事を始めた
真穂のグループは
プログラミングの変更で
慌ただしさが増しはじめ
それがなかなか厄介な内容のようだ
それなのに締切は近くて
真穂は
時計を何度も見ながら
仕事をしていた
そんな夕方近く
真穂がひとり
休憩室に入って行くのを見かけ
ちょっと気になって
俺は後を追った
「だめ?
うん…無理だよね…
何時頃?
…そう…
じゃあ明後日?
わかった
なんとかする……」
真穂は
休憩室で電話をかけてるみたいだった
そして
話し声が途切れると
いきなり真穂が
ドアを開けて出てきた
「あ、栗原くん…」
「あーごめん
入って行くの見たから」
真穂は
携帯を握りしめてて
ちょっと困った顔をしていた
「どうか…した?」
「あー…うん」
俺は休憩室のドアを開けて
真穂と一緒に
もう一度休憩室の中に入った
「仕事のことで困ってるの?」
「……」
「困ってるなら
話してくれよ、真穂」
「…あのね…」
「なに?」
「仕事、終わりそうもなくて
でも今日はパパいなくて…」
また居ないのかよ
「さっちゃんのこと?」
「うん」
「学童何時まで?」
「最高で6時30分」
「俺、さっちゃんみててもいいよ」
「それはダメだよ」
「俺、駿太小さい時から見てるし
子供の扱い慣れてるけど
…やっぱそれはダメか」
いくらキスした仲でも
男の俺に大切な子供を
預けるなんて
できるわけない
それに
さっちゃんが嫌がるかも…
「と、とりあえず
学童に電話する。
遅くなるって」