この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
エメラルドの鎮魂歌
第5章 青い鳥の唄
「…あんたも暇なんだな。そんなに俺に会いに来てさ。
何か面白いことでもあるのか?…それに…。
こんなに贈り物されても困るんだけど…」
藍は呆れたように首を振った。
藍の机の上には、青山が持参したプレゼントが所狭しと並べられていた。
…画材の絵筆、絵の具、新品のキャンバス、洒落た文房具、そして舶来のお菓子…。
頗る高価なものではないが、それなりに値段の張るものばかりだ。
巷の物資が貧しくなりつつある今、庶民が簡単に買えるものではない。
この学院では必要な学用品や衣類は支給されるし、食事もきちんと豊かなものを与えられている。
藍のように絵画を得意とするものには、郁未は気を配り必要な画材用具も揃えてくれる。
だから、施しを与えられるのは甚だ不本意であった。
「俺は孤児だけど、憐れまれるのはごめんだ。
俺は同情されるのが何より嫌いなんだ」
睨みつけるように言うと、青山は穏やかな微笑みを湛えながら答えた。
「憐れみでも同情でもないよ。
…なぜなら、君はもう一人の私の姿だったのかもしれないからね」
青山の謎の言葉に、藍は訝しげに眉を寄せた。
「…何言ってんだ?」
ゆっくりと窓辺に近づき、遠くの景色を眺め青山はのんびりと世間話するように口を開いた。
「私も君と似たような境遇だったのだよ。
…母親は愛人で、私が赤ん坊の頃に亡くなっていてね。
私は貌も覚えていないのだよ」
何か面白いことでもあるのか?…それに…。
こんなに贈り物されても困るんだけど…」
藍は呆れたように首を振った。
藍の机の上には、青山が持参したプレゼントが所狭しと並べられていた。
…画材の絵筆、絵の具、新品のキャンバス、洒落た文房具、そして舶来のお菓子…。
頗る高価なものではないが、それなりに値段の張るものばかりだ。
巷の物資が貧しくなりつつある今、庶民が簡単に買えるものではない。
この学院では必要な学用品や衣類は支給されるし、食事もきちんと豊かなものを与えられている。
藍のように絵画を得意とするものには、郁未は気を配り必要な画材用具も揃えてくれる。
だから、施しを与えられるのは甚だ不本意であった。
「俺は孤児だけど、憐れまれるのはごめんだ。
俺は同情されるのが何より嫌いなんだ」
睨みつけるように言うと、青山は穏やかな微笑みを湛えながら答えた。
「憐れみでも同情でもないよ。
…なぜなら、君はもう一人の私の姿だったのかもしれないからね」
青山の謎の言葉に、藍は訝しげに眉を寄せた。
「…何言ってんだ?」
ゆっくりと窓辺に近づき、遠くの景色を眺め青山はのんびりと世間話するように口を開いた。
「私も君と似たような境遇だったのだよ。
…母親は愛人で、私が赤ん坊の頃に亡くなっていてね。
私は貌も覚えていないのだよ」