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エメラルドの鎮魂歌
第8章 エメラルドの鎮魂歌 〜終わりの序曲〜
…朝の気配の中、ゆっくりと瞼を開く。
温かな引き締まった身体が、瑞葉を包み込むように抱いていた。

…朝まで、こうして二人で過ごしたことは初めてだった。
けじめを大切にする八雲は、どんなに激しい情事の明くる朝でも既に寝台から姿を消していた。
そして禁欲的な執事の制服を身に纏い、一分の隙もない美しい姿で、瑞葉を目覚めさせに来るのだった。


八雲の深い瑠璃色の瞳を見つめ返しながら、そっと囁く。
「…どんな八雲でも愛しているよ…。
約束する…」
「…瑞葉様…」
八雲の手が強く愛おしむように、瑞葉を掻き抱く。

二人の唇が甘く触れ合う瞬間、遠くで玄関の呼び鈴が鳴った。

…予期せぬ来訪者の到着の音であった…。
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