この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
エメラルドの鎮魂歌
第9章 エメラルドの鎮魂歌 〜秘密〜
寝台に横たわり深い眠りについている瑞葉を、藍は傍らに腰掛けながら飽くことなく見つめる。
…五年ぶりに会う瑞葉は少しも変わらずに…いや、益々なまめかしい艶と絹のような輝きを増していた。
ミルクのような白い肌、蜂蜜色の美しい長い髪、エメラルド色に輝く瞳、可憐な唇…。
とても自分より三つ年上とは思えないほどに頼りなげで儚げな優美さは相変わらずであった。
閉じられた長い琥珀色の睫毛…目尻から水晶のような涙が溢れ落ちる。
「…瑞葉…」
堪らずにその白く冷たい手を握りしめる。
両手で包み込み、キスを落とす。
「…可哀想に…こんなに傷ついて…」
青山に掻い摘んで聞かされた話は、藍を茫然とさせた。
…瑞葉くんの実の父親は、八雲だそうだ…。
信じられない。
…八雲は、それを知っていて瑞葉の肉体を奪っていたのか⁈
感じたことのない怒りが沸々と込み上げる。
…それを聞いてしまった瑞葉の錯乱ぶりは、胸が痛くなるほどだった。
当たり前だ。
瑞葉は八雲を恋人として…生涯の伴侶として恋い慕っていたのだから…。
…そして…図らずも垣間見てしまった二人の毒を含んだ爛れるような…けれど甘く痺れるような淫らさに溢れた情事…。
瑞葉は泣きながらも快楽に喘ぎ、藍を哀しげに見つめていた。
桜色に染まった美しい身体は欲望の花蜜に塗れ、八雲に応えていた。
その淫靡な姿は、少年の藍の青い性を夜毎熱く疼かせた。
…許せない…。
あの夜のことも…。
瑞葉を騙して、犯していたんじゃないか…!
「…や…くも…」
瑞葉の薄紅色の唇が微かに動いた。
切なげに美しい眉が寄せられ、静かに涙が流れ出す。
藍は思わず瑞葉の手を強く握りしめる。
そして身を屈め、瑞葉に語りかける。
「…あんな奴…もう忘れろ…。
…俺が…あんたのそばにいるから…ずっといるから…」
弱々しい寝息を立てる瑞葉の柔らかな唇に、そっと口づける。
…甘い吐息と感触に、痺れるような快美感を覚える。
「…俺がこれからあんたを守るから…。
俺はあんたが…」
口にしかけて止め…その残りの想いを込めて、瑞葉の白い手に優しくキスをした。
…五年ぶりに会う瑞葉は少しも変わらずに…いや、益々なまめかしい艶と絹のような輝きを増していた。
ミルクのような白い肌、蜂蜜色の美しい長い髪、エメラルド色に輝く瞳、可憐な唇…。
とても自分より三つ年上とは思えないほどに頼りなげで儚げな優美さは相変わらずであった。
閉じられた長い琥珀色の睫毛…目尻から水晶のような涙が溢れ落ちる。
「…瑞葉…」
堪らずにその白く冷たい手を握りしめる。
両手で包み込み、キスを落とす。
「…可哀想に…こんなに傷ついて…」
青山に掻い摘んで聞かされた話は、藍を茫然とさせた。
…瑞葉くんの実の父親は、八雲だそうだ…。
信じられない。
…八雲は、それを知っていて瑞葉の肉体を奪っていたのか⁈
感じたことのない怒りが沸々と込み上げる。
…それを聞いてしまった瑞葉の錯乱ぶりは、胸が痛くなるほどだった。
当たり前だ。
瑞葉は八雲を恋人として…生涯の伴侶として恋い慕っていたのだから…。
…そして…図らずも垣間見てしまった二人の毒を含んだ爛れるような…けれど甘く痺れるような淫らさに溢れた情事…。
瑞葉は泣きながらも快楽に喘ぎ、藍を哀しげに見つめていた。
桜色に染まった美しい身体は欲望の花蜜に塗れ、八雲に応えていた。
その淫靡な姿は、少年の藍の青い性を夜毎熱く疼かせた。
…許せない…。
あの夜のことも…。
瑞葉を騙して、犯していたんじゃないか…!
「…や…くも…」
瑞葉の薄紅色の唇が微かに動いた。
切なげに美しい眉が寄せられ、静かに涙が流れ出す。
藍は思わず瑞葉の手を強く握りしめる。
そして身を屈め、瑞葉に語りかける。
「…あんな奴…もう忘れろ…。
…俺が…あんたのそばにいるから…ずっといるから…」
弱々しい寝息を立てる瑞葉の柔らかな唇に、そっと口づける。
…甘い吐息と感触に、痺れるような快美感を覚える。
「…俺がこれからあんたを守るから…。
俺はあんたが…」
口にしかけて止め…その残りの想いを込めて、瑞葉の白い手に優しくキスをした。